• 浜中町

一生懸命考えた餌の配合で牛の調子が良くなると、達成感とやりがいを感じる

FARMERS' QUOTE

酪農家の言葉

牛のコンディションを注意深く観察すること。健康的で美味しい牛乳を出荷すること。人を育てること。

武藤牧場代表

武藤 祐司

1981年生まれ。酪農を経営する一家の次男として誕生。家業は兄と弟が継ぎ、自身は従業員として働いていた牧場を引き継ぎ、牧場主となる。飼育頭数155頭(成牛85頭・育成牛70頭)。草地面積85ヘクタール。奥さんと2名で牧場経営に従事する。酪農で働く人材を育てること、どうしたら牛が良いコンディションでいられるかを常に考えること、いかに生菌の少ない牛乳を届けるかということ。淡々と語る口調の向こうには強い思いが感じられる。

Question.1

ご実家も酪農をされているそうですが、子供の頃から酪農家になろうと思っていたのですか?

特にやりたいことがあったわけでも無かったんですけど、酪農家になろうとは全然思っていませんでした。 ⾝近過ぎて選択肢に⼊らなかったんですよね。「やりたいことか」って聞かれたら、そうではなかったし。 だから、⾼校でも普通科に⼊学して、「通いながら将来を考えよう」って感じでした。 担任との⾯談で、「将来の夢は?」とか、「ウチに進学を決めた理由は?」とか聞かれてもフワフワしてましたね。でも「酪農はやる気ないの?」って質問には「ありません」ってハッキリと答えていた覚えがあります(笑)。酪農に携わるきっかけになったのは⾼ 3 の夏でした。すでに板⾦屋から内定をもらってたんですけど、たまたま知ったヘルパーの募集が魅⼒的に映ったんですよ。主に給与⾯でね(笑)。それに、当時の酪農ヘルパーは農協の職員扱いだったのもあって待遇も良かった。板⾦屋には申し訳なかったんですけど、内定を断ってヘルパーをやることにしました。作業⾃体は実家を⼿伝ってきたのもあって、そんなに難しくなかったです。でも実際に仕事としてやっていると⼤変さが⾝に染みました。その反⾯、4 年⽬くらいから「農家の仕事って結構⾯⽩いな」って思うようになったんです。

普通科高校を卒業したけど、ヘルパーの経験で酪農の知識やノウハウを学びました。

Question.2

牧場主として⽣きることを決めたきっかけがあれば教えてください。 また、経営をしていく上で⼤変だったことはありますか?

跡継ぎのいなかった牧場主さんから「引退するから俺の後を継がないか?」って声をかけていただいたことですね。実はここ、もともと僕がヘルパーを辞めた 24 歳から 30 歳までの 6 年間、従業員として働かせてもらった牧場なんです。6 年⽬で独⽴して、ツテのあった⼗勝で就農するというのが当初目指していたことだったんですが、お世話になったことや、⾃分の地元ということもあって継がせていただく形をとりました。経営に関して⼤変だったことは…特に無いといえば無いですね。従業員として働いてる間に、お⾦の管理やら餌屋さんとの取引も含めて、経営者的な⼀切合財をを任せられてた分、経営者と従業員の⽴場のギャップをそんなには感じなかったからかも。 当時は「そこまで従業員にさせる!?」って思ってましたけどね(笑)。でもそれが経営者になるにあたっての肥やしになりました。このときに経営のノウハウをしっかりと叩き込まれたというか。牧場を譲ってくれた牧場主さんには本当に感謝していますよ。牧場の運営・経営以外にもいろんなことを学ばせてもらって。その方がいなかったら今の自分もいないわけで。感謝しかないです。 だから経営はむしろやりがいを感じてる。餌の配合や、その年の草の質ひとつで⽜のコンディションがガラッと変わる。だからその都度、無い頭を振り絞って餌屋さんと考えたメニューで⽜の調⼦が良くなると達成感がすごくある。やりがいを感じるんですよ。

もうひとつ経営していて嬉しいことは、儲かったお金で新しい機械を導入した瞬間(笑)

Question.3

武藤さんの酪農に対してのこだわりと、これからの想いについて教えてください

「清潔であること」、これに尽きます。汚れた⽜舎を⽜が歩くと、おっぱいに糞が⾶び散って汚れてしまいます。 そのまま寝床で横になると、今度は敷材が付着して乾いて張り付いてしまう。乳房炎のリスク上がる。汚れたままの⽜が搾乳室に⼊ってくると搾乳室も汚れるし、おっぱいを拭いてあげるのに時間がかかって搾乳の効率も悪くなる。⽜舎の汚れは悪循環を⽣むんですよ。でも清潔に保っておけば、少しでもそのリスクを回避できますよね。 搾乳前の清拭も「汚れを落とす」ではなく「キレイに拭いてあげる」をできるようになる。この作業は、売り物になる⽣乳を出す⼀歩⼿前の作業なわけだから、そこを疎かにしてしまってはどうしようもないでしょう?それに、きちんと作業しているかの結果は、⽉に3回ある乳質検査でしっかりと現れます。検査表にはウチも含めた、近隣農家の乳質が掲載されるんです。それはつまり、よそにウチの牧場が安全な⽣乳を⽣産できているのか⾒れてしまうということ。本当にこれは怖くもあり、⾝が引き締まるイベントですね(笑)。でも、うちの乳質がよそよりも良かったら嬉しいし、モチベーションも上がる。⾃分たちが頑張った結果がきちんと評価されてるってことですからね。従業員にも「皆で⼀⽣懸命に作業をした結果が良くても悪くても、こうして現れるんだ。しっかりやっていこう。」と⾔い聞かせています。

農業は自由なイメージが強いです。自分の考えひとつで動けて周りの影響もさほど受けないですし。成果が出たときのやりがいは大きく、効率よくやればいくらでも時間はできる。その反対もまた然り。自由なんですよ、農業は。